おまけ番外篇
「かわいいひと」というタイトルおよびテーマで詩などを送ってくれたらココへつなげていくのである。かわいいひとはいくらいてもいいのでさる。ある。1998.10.2記す（このコーナーの発端はココ）。
[1998年版]
１：阿賀猥(98.9.17)、２：清水健太郎(9.24) 感想も随時記していくのである。
３：中谷泰(10.10)、４：片平優子（10.13）、５：樋口えみこ
＊５番手が来ないので自分のを載せてしまいました。次は６番選手を待っておる。11.21
６：先田督裕(11.27)、７：桐田真輔(12.7)、８：福島敦子(12.23)
＊このコーナーでは送られてきた作品をすべてそのまま即載せます。即興でかまいませんが引用や二重投稿等注意のこと。
1999.1.21 かわいいひと増殖のため、No.9からの1999年版は別ファイルへ移りました。
続かわいいひとへＧＯ！
「一緒にいけない」
福島敦子
どこへでも！ わたしはどこかへいってしまいたい <いけないから> このままはいや <困ったなぁ> 花びらに埋もれたままはいや <花びらは濡れているのに> 「一緒にいけない」 <フリするだけ> 「一緒にいけない」 <がんばってくれているから・・・・>
★もとの詩は「一緒にいこうね」で詩誌konoya4にあります。
http://www4.justnet.ne.jp/~seineko/
興味のある方はHPに遊びにきてくださいね。（福島）
●一緒に、いったことってあったかな、あ、ピクニック、水筒に安い赤ワインつめて出かけたっけ、あれはいつのことだったんだろう。（ぺ）
嘘とアクセスとゲストブック
桐田真輔
Name: ぴぴん
Time: 1997-0x-xx 23:18:05
Comments:
きみがだれかなんてどうでもいい
ぼくをおだててくれさえすれば
きみがだれかなんてかんけいない
ほうもんしてくれるだけでまんぞくさ
きみはかうんたーのすうじのいち
だからまいにちなんどでもおいでよ
ぼくのあたまのなかで
きみが１０００００にんぶんにふえるまで
そしたらぼくはまんぞく
なぜかまんぞく
ぼくのあたまはこわれかけてて
すうじをふやすためなら
なんでもできそうなきがする
ぴっぴぴ
Name: ばるお
Time: 1997-0x-xx 02:20:00
Comments:
ききさん
ぼくもいちごがすきだから
きみがすきです
ほんとはいちごはにがてだけど
きみがすきなじぶんがすきだから
いちごもきっとすきです
ききさん
あなたとあうきなんかないから
うそもほんとでしょう
ばれなきゃうそもほんと
ばなながすきです
ききさんもばなながすきだといって
そしたら
おたがいあんしんしてねむれる
ぼくがきみを
すきだといったように
Name: よも
Time: 1997-0x-xx 03:18:00
Comments:
やまさんへ
みんないろいろくろうがあるのよ
それをいわないっていうのがれいぎなの
ほんねをいってたらかんけいが
もたないのよ
いろいろくろうがあることを
しるってことがたいせつで
おとなどうしは
そういうひとをすきになるものよ
ほんねばかりいいあって
きずつけあいたくないから
いちごがすきなひとでも
いちごがきらいなひとでも
それはおとなにとっておなじこと
おとなはずるいものよ
Name:ひろたん
Time: 1997-0x-xx 19:45:00
Comments:
ぼくはやっぱりこころを
もとめてるようなきがします
げんじつはいろんなしがらみがあって
いいたいことがいえない
それはげんじつのせいなので
たんしんふにんでてがみをかきあう
そんなふうふっているじゃないですか
そういうときにはじめてわかることって
あるようなきがする
しらないひとのかいたしにも
しんじつのこころがあるでしょう
だからぼくらのやりとりも
べつにげんじつてきでなくたって
いいとおもうんです
Name: 安藤梅助
Time: 1997-0x-xx 04:55:00
Comments:
現実は現実
嘘は嘘
君が嘘をついてたことは
やはりばれなくたって嘘は嘘
そんなことをいくら重ねても
夢見はきっと悪くなるばかり
いつか見すかされて
自分が尊敬できなくなるよ
Name: ななしのなしお
Time: 1997-0x-xx 05:30:00
Comments:
いごこちわるそーですね
おれらたのしくあそんでんのに
きょうしずらしてでてくんじゃねーよ
よっぽどひまなんじゃないの
かいしゃであいてにされないとか
わかいおんなのことおともだちになりたいですか
けっ こんたんみえみえですよ
うちのおやじみてーなせっきょー
やめてくんないかな
てめーのむすこやむすめあいてにできねーんだろ
きどってんじゃねえばーろ
Name: レイラ姫
Time: 1997-0x-xx 03:18:00
Comments:
死にます
Name:
Time: 1997-0x-xx 03:19:00
Comments:
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
死ね死ね死ね死ね死ね
★どこが可愛い人なのかと、言われても困るし、自分自身で、この詩の意味を計りかねているところがあります。（桐田）
KIKI HOUSE http://www.linkclub.or.jp/~kiri
●この詩を読んだとき、最後残酷なんだけれど、でも慰められた感じがした。なぜでしょう。そういえば「セックスと嘘とビデオテープ」ってありましたね。ハッピーエンドだったっけ、あれは？…後で教えられてから気付いたのですが、私をめちゃめちゃしんみりした気分にさせておきながら、桐田さん、けっこう言葉遊びしてるんだよねー…。探してみられ。（ぺ）
かわいいひと
先田督裕
パリへ行きたいのに 家までのタクシー代しかない その小銭で ぼくは買って帰るものを探す
妻と出会ったことで ぼくは一生の運をすべて 使い果たしているから 宝くじは買わない
買ったシュークリームは五つ 四人家族には 一つあまる
一度しか効かないヤラセである 「いつも心配かけてるから この一つはママにあげようね」
★この作品の一行目は田村隆一詩集「１９９９」の３０ページで読んだ「パリへ行きたくても大坂までの汽車賃しかない」という一行の本歌取りです。（先田）
●あ、もぐらの家族（しつれい）、いいな。これもどちらかというと、妻というより夫がかわいい、ちがうのだろうか、夫婦の機微はわたくしにはわからない。一生の運をすべて使い果たさないように私も宝くじを買わないでおこう。たんにくじ運が悪いので諦めていつも買っていない。（ぺ）
かわいいひと
樋口えみこ
年をとるごとに鋭敏になると あなたはいう だからもうはだかも 見なくていいと かわいいひと 請うような目をする きのうあった 十九のひとに似ているあなた
なんの話をする ねこの話をする？ ほんの話をする？ やまの話？ うまの話？ かぜの話？ やみの話？ やましい思いに 声がくぐもる
にごった皮膚のなかに ますます守られていく あなたの感じやすさ こころの揺れが わたしをとても刺激する だからきょうは首のたわみにさわるだけで いい あなたもわたしの腕にすこし ふれる 並んでいるだけで声がもれそう 長くつづく
あなたの首を、あなたの胸を、 まさぐるわたしの想像の触手 かわの話をしながら あなたを浸食していく あなたの別のかおを見ている 十九のあなたをゆるやかにしばってはほどく わたしも、もう あなたに近いところまで 来てしまったのだろうか 約束 といったことにも 興味がなくて つかのまのにくしんと ゆれてあそぶ
●詩誌「キテ。2」に収録
かわいいひと
片平優子
ビル風が啼く 酔うと泣くのはイヤだ 横向いて エビになって 寝よう 寝よう もう寝たいよ それでも 泣くこともある
昼の間に爪をきれいに塗って お花も描いた 丸めた形にしたら 見つめているあなたによく見えるよう 角度を変えよう ゆっくり動かしてみよう 髪の毛をかき上げられても あなたの目を見つめていよう テレビは消音 青みがかった灰色の光が 私の背中とあなたのおなかに うごめいている
さっきの電車 隣の吊革のね おばさん キョーレツだったねえ わきがの匂い
どうしてこんなに匂いなんだろう 私の その前の匂い あなたの その後の匂い あなた2年前から体臭きつくなったの 「知っとらんかったでしょう。」
寝よう 本当にもう寝よう 服は着たままで スカートだけがめくられている 化粧も落とさなくてはいけないのに 抱え込んでしまうこの内包も 朝の４時になったら帰るんだから
時々思い出せなくなる あなたの寝顔を盗み見してる 目の形 鼻の形 唇の形 かわいい人
でも横向いて寝るよ 朝の４時になったら又忘れるんだから
●朝の４時になったらどこへ帰るって、青みがかった灰色の光が背中とおなかにぃ？、何体位ハハ、はぁ〜、ねーさん、いつも刺激してくれるねぇ。ただ、このバヤイ、かわいい人は、どちらかというと男じゃなくて、「私」、ですね。かわいい人、泣いたっていいんだよ。（ぺ）
かわいいひと
中谷泰
ありふれて 退屈な時計
風がふいて 白いシャツのようなふくらみを 風景が見せる その中に可愛い人はいるはずだ
町の中の高い塔
可愛い人は美ではない 醜くもない 笑いもしないし怒ったりもしない まして泣いたり怠けたりない 神様でもない
少し歩くと一面の稲穂が波打つ
人は歩いたり走ったり立ちすくんだり その中でそれぞれが可愛い形を見つけ もう逃げたり攻撃したりはしない 時計を絶縁した、あなたを見出す
遠くに見える高い建物は嫌いだ
可愛い人は可愛い仕草をするから かわいい形になる 街の中にいて街から離れている 誰とも関係はしない
喧噪を やあ 風が運んでゆくじゃないか 可愛い形が残る
★即興ですみません。３つの水路というホームページを持っています。（中谷）
mail adress taishi@ba2.so-net.ne.jp
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/ba2/taishi/
●少し歩くと一面の稲穂が波立つ、って、いいな。ここまで３篇読んでくると、かわいい人は人間ばなれしてしてみえる。白い、赤い、黒い、透明、遠い。今度はもうちょっとそばへ来て煙草でも吸わん？ BGMはアメトラです。(ぺ)
かわいい人・薄れる記憶
清水健太郎
公園の緑色の芝生に寝そべって 雲を眺めていたありきたりの午後の事を
どうして、よく覚えているんだろう あのありきたりの雲のかたち
ありきたりの風が吹いて ありきたりの光が木々の葉をふるわせ ありきたりの子供たち の歓声が ありきたりの町から聞こえ
なんのためらいもなく、微笑むことができた
ありきたりのぼくら二人の不思議
きみの手の感触を覚えている
角砂糖 ゆっくりと溶けていく 空の下で
雲
白い
ありきたりの風がきみのワンピースの裾から襟元へ抜けていった
ありきたりの不思議 のぞきこんだきみの瞳 にぎやかな噴水の音が急にやんだ
閉じたまぶた
白い積み木
固く冷えていく指先 銀色の魚 地上で ゆっくりと開かれていくように 雲
白い
青い積み木 忘れた
公園 緑色 ありきたりの雲のかたち
かわいい人
阿賀猥
私があなたの為に死んだ、としてもあなたは知らないでしょう。 そしてまた あなたが、私のために死んだとしてもまた私は、知らないままに終わる でしょう。 かわいい人 あなたが、そんなにも無能で、私もまたこんなにも無能で、
私は、ただ時を過ぎて行く船 たった一人の旅人も乗せずに、虚しく過ぎていく船 赤いボンボリをつけて 船が過ぎて行きます
明かりが、血のように光るのはなぜですか？ 誰かが血の涙を流しているのではないのですか 可愛い人 私達は過ぎて行きます 出会うことなく、
私は黒い玉を抱いていたのです 大きすぎて。どうしていいかわからないほどに大きな玉 玉の為にあなたを忘れていた、というのではないのです。その玉の中 にあなたがいたのです。
かわいい人 私はその玉をどうしていいのか、わかりませんでした。 私達は過ぎて行きます 巨大な玉は私を覆い、全てを覆い、
かわいい人 無人のままに船が過ぎていきます 沢山の赤い灯をつけて、 血のように赤く、花のように燃え盛りながら、 南浜崎橋、芝浦橋、低い橋をくぐり、水門をくぐり、湾へ、海へ
可愛い人、 その船が通る時、どうか手をふって下さい 私のかわいい人 その船が通り過ぎる時、どうか手をふって下さい。
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