| ＊おまけＢＮ 2001.1-6 |
「態度でかい？」
「何も考えて、ナイヨ」
←clikするとちいさな声で朗読（暇な人向け）「戦隊を組んで」
要real player
野原(6/20)
その人といると私はいつも、死んでもいいと思うようになった。もう死んでもいいと思う。そう思うときの私は、さまざまな欲望や嫉妬や疑念から解放されて、死んでもいいという意識のプールのなかに安らかに沈んでいる。くぐもる声で話される記憶、言いよどんで動く指先、輝いたり陰ったりする視線、やわらかなエゴとぬくもり、その人に現れるすべてのものが、滋養のように、私の皮膚から吸収されて奥深いところへ染みとおっていく。これ以上の幸福が私に訪れることはないだろうという突然の確信。はじめての到達感、そして、かなしみ。死んでもいい、死んでもいいと思いながら次に会う約束をして別れて帰る目の前に、はてのない野原が広がっている。誰もいないように見える、やさしくて、さみしい、おおきな懐へ抱かれるように私は帰っていく。ここは、きっと、最初から、用意されていた場所なのだろう。無力だ。導かれるために生かされ苦悩や失意や、それでも捨てきれない望みという闇にまみれている。
おきゃくさま(6/8)
えー、ダイエー大宮店に、先週ですか、このページを見てヒグチを訪ねてくださったお客様。わざわざ足を運んでくださったのに、いなくてすみませんでした。２８日だったのでしょうか？ 月末慌ただしくて急な変更を下記の予定表に記すのを失念していました。ごめんね。
手相の日は、勤務先に着いたら、まず、足袋をはき襦袢を着て簡易式の着物をまといます。そしてスタスタスタとようやく慣れた小幅早歩きを進めれば、自堕落な私であっても、なんつか気合が入ります。草履の鼻緒が足の親指と人指し指のあいだをぐぐぅっと拡げるのも気持ちよく。衣裳ひとつで、こんなに気分が切り替わるとは。剣道着なんか、もっと、いいかもなあ、と思っています。お面！拝見
poeta,70000カウント記念宿題(6/5)
Poetaster(へぼ詩人?自称)、ぽえたさんから70000カウント記念しくだいが届きましたので紹介します。今回の課題は・・・ぽえたさんの正式HN（なのでしょうか）「Poetaster」のスターにむりやりこじつけて”スター”という言葉を入れ込み、現在の心境で（70000回を踏んでからここしばらくという感じで）創作ブツをこしらえて出せ！・・・追記：なんやかんやといろいろある世の中でございますが、ドブの中にも何か輝くものが、見たいです。・・つかみどころのないぽえたさんにふさわしくつかみどころのない出題ですがつかみどころなく自由な作品をのんびりお待ちしております
というものでした。ではドーゾ。
| きらら もうどうでもいいのさ 量子レベルのテクがブレークスルーし 言葉の力が問われる「時」が来ているとしても ケータイからきみの声は聞こえない Seven Stars の星の数さえ忘れてしまった おそらく壊れていたのは 鍵穴ではなく僕 感覚の開け方が思い出せない Superstition が流れる街を逃れ 代々木公園の歩道橋の上 摩天楼の隣りで鈍く光り点滅する星 めしいた少女のようなきみを抱擁 ちがうよ I shot the sheriff だった But I did not shoot the deputyさ 一切を剥ぎ取られたタンポポの 夜空を飛び交う冠毛たち 全ての僕を凝縮して種子になり ほぐれた風を待って ひとつがふたつになるように ただ 飛べばよかった もはやモノトーンのSceneなど見えはしない オレンジに煌めくのは星か飛行機か 瑠璃色の雨が降る麻綿原 数えきれないほどの紫陽花 まだうすみどりの花弁から飛び立つ ななほしてんとう虫の赤 そして黒 夜が膨らんで 頑なに閉ざされた扉が開く 疲れ果てたまろうどを突き刺す星のかけら ‘まだ歩くつもり？’ ‘なぜ帰ってくるのさ’ 暗い河原できみが泣いている うすむらさきに煙る夜更けに 僕はゆっくりと横になり 息を呑んで 星をみつめた by ｐｏｅｔａ 2001.6.3 |
＊自慢じゃないが小学校以来今まで宿題なんてやったことがない（ぽえた）
くらくまばゆくあてどなく。 なんかこう、星も見えない夜にこんな言葉をささやかれてみたいものです。必ず笑うけど（ぺ）
←季節が過ぎましたが千葉大網の土手に無理矢理植えられていたチューリップ。なんとなくいつも、写るんです系カメラをポッケにいれてます、画像はひどくてがっかりしますが軽いですね。デジカメは持ってないのです。最近買ったケータイにはカメラが付いていて、メールに添付して送れます、画像はやっぱり「あ、写ってる」ぐらいなものですが、オモチャとしては楽しいですので遊んでます、ひとり遊びばっかりジャン。かつてネクラとかネアカとかいう言葉が流布しましたよね、80年代でしたでしょうか、いまは、あちこち見ていると、わくわくネクラ送受信、という感じでしょうか。となると、詩の時代ではないでしょうか・・・見上げる空が厚い雲でも
6月の手相占い処出番ひょう（6/5現在）
| 浅草花やしき | ６/3，10，13，20，24，27， | 10:30-18 火曜休園。晴天の日曜はお構いする余裕がありません。雨天と平日はおおいにお構いできます |
| 大宮ダイエー | ６/4，8，15，22，29， | 10-20 4日、29日は終日、その他の日は〜17時の早番。お構いできます |
| 千葉大網ジャスコ | ６/16 | 12:30-20 お構いできます |
→浅草寺のハトは凶暴な手乗り（背乗り肩乗り）文鳥となって、餌を手にした人に襲いかかります、ハト好きもハト嫌いも悲鳴を上げています。いじめ鳩はいじめられ鳩をいつも追いかけて背中をつついています。 ●花やしきでの昼食用に、コンビニおにぎりには飽きたし小銭も惜しいので弁当を作り始めました、稲荷寿司が定番です、夜からかかってひと仕事、楽しいですが食べるとなくなるのがつまらない・・・。ひとには勧められない味ですが、遠足気分なのでごまかせます。ダイエーでは久しぶりに社食を利用、味は・・・自分で作るより栄養価的にバラエティーに富んでいるからいい、と思うのですが、あまりおいしいと感じられないのはなぜなんだろう、日替り定食500円、この値段であれこれ求めてはいけませんね、満足してます
家ではろくに食べないときもあるので、どさ回りのおかげで多少健康になってるかもしれません。夜もつかれて全然起きていられません。家事も仕事も創作も、と、こなしている人は私には驚異です
一生のお願い、なんでもするから（5/31）
さぁ仕事するぞと意気込んで午前９時半、受けた電話がいきなりハアハア電話。こんな時間からですかぁ？ しかも女のシト。どこまでほんとか知りませんが、番号をかけ間違えたらしいけどコトは既に佳境に入っていて女（わたひ）が相手でもやめられない、一緒にシテシテと頼みます。そう言われてもこちらはすっきり、その気はないのです、笑ってしまう、「笑ワナイデ」、困ったなぁ他をあたってよと繰り返しても「オネガイ、何デモイイカラ言ッテ、キレイナ声、キレイナ声、ア、ア、ンｰ、オ礼スルカラ、一生ノオネガイ」と、せつない声で頼まれると、お礼は怖いがひとのいい私、好奇心も手伝って、ぎこちなくも多少ナニカを言ってみる・・。「・・コレカラドウスルノ言ッテ、何デモシマス、ア、ン×○！！△×#＄＄！！」。これだから女ってさー欲しがってばっかりでさーしょうがないなー、と、自分のことは棚に上げて、あーしてこーしてみれば？などとボランティア精神をおおいに発揮するけど過ぎ行く時間も気になり、切りたい！ でも、もうちょっとモウチョットデイクカラとお願いされると、そうだよねもうちょっとはやめたくないよねと妙に納得し言葉を重ねてしまう 、もっといろんなことされたいんだね、目隠しされて縛られていじめられたいんでしょう〜？ 「目隠シ、ン？シタコトナイ。ナニサレルカワカラナイ、縛ラレルノハイヤイヤ」とか言いながら結構いい感じ。あとどのぐらいなのかなぁ、ほんとは意地悪されたいくせに、早くしないと切るよ！私、もうつきあってられないんだよ！ 「ア、イヤイヤ、怒ラナイデ、イクカライクカラモウチョット待ッテオネガイオネガイ、ア、ア、、、、、、」俄然スピードアップ。・・・・・・・・・・・・オワリ。
・・・おちょくってんじゃないの？ 「おちょくってないヨ。ン、アリガトオ」・・・いえいえどういたしまして何事も助け合いですよね。悪い人に当たらないでよかったですね、そのかわり書くからね、今度電話してきたらさらに詳細を、○○ミさん。
途中でポポーポポーと鳩時計が鳴ったのです。すかさず「鳩時計ジャナイヨ、ン、前ツキアッテタカレニモラッタ、モノ、デス・・」 あ、そうですか。ポポー・・こういう時の効果音って楽しいものだなぁ、などと鑑賞しているわたし、ばかなんじゃないでしょうか。むくな妹がネットにつなげる日も近いというのに、いいのか、こんなこと書いてて・・・。よくない。
５月中旬（5/15）
なにを書いてももっともらしく、くだらなく、どうでもよく思えていけません。ケータイを買いました。山本某が変えろ変えろと言うので眼鏡も買いました、レンズの多彩さに迷います、おいしいご飯を食べたくて、シシャモを8匹焼きました、猫に2匹あげました、ニュースは代わり映えなく死んでいます、井上陽水はいいよな、しゃあしゃあと。雨が降り出して、ひと息。
５月。華やかな観光地の店じまいは早く、路地を曲がった公園は薄暗い、「児童引率以外での入場をお断りします」という張り紙の向こうに、どんよりした仕種で水道の蛇口から水筒に水を満たしている人、背を丸める表情のない人、そんな機械みたいな人たちを見たくないと思う、約束の時を待ちわびる自分を後ろめたく感じてしまうけれど、宇宙人から見たら、私が猫たちを見ているように、同じ種の人という生き物の間にさほど違いはないのだろうね。「宇宙人はいないよ」とささやく人非人のあなたと善良な私も同じに見えるということ。おそろしい。嘘だよ。もっと嘘がつきたいな海中、回虫、カイチュウ、懐中時計（4/24）
時計は止まる。何かの暗示みたいに。いいや、ただ電池が切れただけなんだ、規格通りに。
腕時計はせずに私は懐中時計をポケットに入れて出歩いている。止まった時計の文字盤を眺めていると、前回は神楽坂の商店街で電池交換したことを思い出す。編集プロダクションからの帰り道、夕暮れ近くだ。仕事が仕上がった達成感といつも感じる徒労感があった。その前は最寄り駅近くの時計屋だ。まだ駅前ターミナルが整備されていなかった頃。ふたりの生活に限界を感じていたけれど別れられなかった。その前は…。巣鴨だ。ワープロ打ちの派遣の仕事で設計事務所に定期的に通っていた。昔ながらの商店と新しい雑居ビルの混在する街で、朝はやくに…、そうだ、そこで時計を買ったのだった、8000円だった。好きな人との新しい時間は不安に圧されて早くもしぼんでいた。思いやりの心を失った。それでも何か期待を込めて新しい時計を買ったんだと思う。
そんな、とても個人的で他人にはどうでもいいことを、ひとつひとつ思い出していると、今度の目の前は千葉大網のジャスコ３階、占いコーナーの目の前が時計屋なのだった。大網の垢抜けない駅の風情や、草の繁った小川やそっけない道や率直な人々の反応が私の故郷の景色を思い出させる。時間はたった、でも事態はあまり変わっていないのかもしれない、哀しい人は相変わらずの状態だ、私はレンアイがどうもうまくいかない、他人に迷惑もかけている、でも、うまくいかないって何だろう。いいじゃないか。新しい電池を入れた。
しかしタイミングよくケータイの表示画面まで割れたのには少し動揺したのだった。割れるもんですか？
５月の予定ひょう(4/26現在)
| 浅草花やしき | ５/2，6，9，13，16，20，23，27，28，30 | 10-18 火曜休園。晴天の日曜はお構いする余裕がありません。雨天と平日はおおいにお構いできます |
| 大宮ダイエー | ５/4，11，14，21，25， | 10-20 11日と25日は私は13時〜の遅番。他は〜17時の早番です。お構いできます |
パンダ(4/9)
「なにか好きなこと、ないのですか」と、尋ねてみることが多い。成り行き上。占い処での話ですが。他人がどんなことに関心があるかということに私が興味があるから、という理由もあるのだけれど。先日、お客様である中学１年生から回答が得られなかったので、隣でつきそっていた友だちに話をふってみた。「あなたの好きなことはなぁに」と。そしたら、ちょっと考えてから「パンダ」と言った。ニコッと笑った。
パンダ？？？たれパンダじゃなくて、あのしろくろのフツーの？
そうだと言う。なんだかパンダが好きでパンダのことを考えるのだと言う。
そんなことがあるので楽しい。彼女の頭の中にいるパンダがのそのそと、私の頭にも移ってくる。
よかったらドウゾ。手相占い処出番予定(4/6現在)
| 浅草花やしき | ４/１，４，６，11，13，18，20，25，27， | 10-18 火曜休園 |
| 千葉大網ジャスコ | ４/15，22，28 | 12:30-19:30 〃 |
| 川口ダイエー | ４/8， | 10-19 無休 |
| 大宮ダイエー | ４/10， | 10-19 |
できたら、HP見たと言ってください。もっと立派な先生に観てもらいたい人は他の日にどうぞ
春の行楽のお供には、るるぶ情報版「首都圏遊園地&テーマパーク」をどうぞ。動物園&水族館も載ってます。ところで、二子玉川のナムコワンダーエッグって、なくなってたんですね、知らなかった。
なんかさいきんヤバイのです。(3/24)ポカリとあいた時間。駅前に置いといたら撤去されてしまった自転車を引き取りに、保管所まで歩いていく。のどかな住宅街の一本道をてくてくと2、30分、太陽光を充填された自動機械みたいに脚を動かしていると、頭が解放される。桜の花が咲き出しているのを知る。目的の第三京浜道路が近づいたあたりで小道へ入ると空き地や畑が現れて気づくとちっちゃな鳥居の前に立っていた。おキツネさまが待っていた。参拝嫌いのはずなのに自然と手をあわせていた。そういう時、願うのはいつも同じことだ。社に背を向けるとあんまりまわりがあかるかったせいか涙が出てきた。究極のナルシシズムなのか?
高架下にある保管所に、自転車はあった。目印の赤い針金がなければ識別できないようなよくあるタイプだが、すぐ目についた。日陰の高架下で働く係のおじさんは、「言っちゃ悪いけどこういう自転車は台湾製。鍵がよくない。タイヤが違う。安いだけのことあるから買う時はよく考えて」と余計なアドバイスをしてくれながら（実際、友だちの自転車の鍵でも対応可能なシロモノ）、車体を拭き、曲ったカゴをねじって元通りにしてくれた。でも1500円とられた（撤去費用として）。モノの擬人化も嫌いなはずだが、ごめんねさぁ帰ろうね、と心の中で声をかけてハンドルをぎゅっと握って自転車にまたがると嬉しそうに走り出した、と感じた。
そろそろ花見酒（2/21）
たんたんと日々過ぎていき。私の意志や思いの及ばないところの力で動かされている感、いよいよ強く。どこまで流れてきたのやら、と思ってあたりを見渡してみると、場所はたいして変わってなくも見え、子供の時のダレちゃんやソレちゃんが流れのまにまに顔を出し…、あいもかわらず夢の中で激昂してる、私は。それやこれやも、こんなオマケ書いてるようなことも、ただ前世の一生をなぞっているに過ぎないのかもしれないとふと考えてむなしさを覚えることもある。死んだらなくなる、オシマイ、無、お盆に帰ってなんか来るわけない…というのが、私がそうであってほしいと願う考え方だけど、理想としていることと感じることには矛盾がある。前世ってあるのか。来世もまたこんなキレイゴトばっか言っててだらしない私とつきあわないといけないのか？ ……ともかく、いま目の前のことでイライラしすぎても仕方ない。ってことで、この冬はあん肝をいっぱい食いました。
静かだ（2/9）
新潟の齋藤健一さんから同人誌「乾河」が届いた。
齋藤さんは、自身が受けとめたものを、掌に載せてさしだすようにして、見せてくれる。何度も、何度も。あるとき私が繰り返しに飽きて、目先の刺激にひかれ浮かれ出ていって、すこし色褪せて戻ってくると、「ほら、まだここにあるよ」と、何度も。きれいだ。
「詩は人間を激励する文学であって欲しい。
そして、読む者が人生を肯定できる何かを探究する道を歩み始めるならばすばらしい。」と彼は書く。
今はそんなふうに、私も考えている。わかりやすく健康的な作品を望んでいるというわけではなく。以前に私がこのＨＰでピカイチとして紹介させてもらった「みなごろしのうた。」という作品も、鬱々とした私にとっては一種の激励だった。書き手がいかに「詩人」として苦悩しているか、ものごとを把握しているか、を、知りたいわけでもない。詩を感じたい、詩を感じれば、力がわく、それは私だけではないと思う。
「静かだ、戦争とは…」。
これは、タルコフスキー「僕の村は戦場だった」の中で印象に残った言葉。名作もたまに観るとほんとにいいものですねぇ、さよならさよならさよなら。
け（だ）ども（の）。(1/29)夜更けて仕事終わらず硬直してきた時も、…朝まで起きててやれば間に合うか、そう思って寝ないことに決めてしまうと、気が少し楽になる。（私が徹夜になるのは常に怠け過ぎのためなんだけど）。コーヒーを淹れて。あの人もこの人も（あんにゃろもこんにゃろも正体なく）今ごろは眠っているだろうな、と顔を思い浮かべていくと、ちょっと安心するというか、憎らしいけど、心がなごむ。ゆっくり眠れよ。
そういう気持ちでいる時の自分が好きだ。やさしい私でいたい。離れているとそれができるのだけれど、いつもそうはいかんのよね、向き合えば意地の悪い言葉が出てしまう、それが私だと思い知ることはくるしい。「やさしい自分」という虚像によって慰められたいだけのことなのかもねー。
実際、前にこういう話をしてたら「それは傲慢の裏返し」と指摘されて、図星だったのでしょう腹がたって泣いてしまった。（実に女らしい反応）。その人は「不特定多数のダレカじゃなくて目の前の私にちったぁやさしくしてくれ」と言いたかっただけかもしれないけど。（おまえこそもっとやさしくしろ）。・・・こんな私でもいないよりいた方がマシと思ってイキテルわけですけども。
今日は雪、連絡通路(1/27)
永田町で半蔵門線を降りて丸ノ内線赤坂見附へ乗り換える時の地下通路、短いエスカレーターを上がって、階段を上って…。よそよそしく通過している自分には親密感がある。神楽坂へいく時は、九段下で東西線に乗り換える。エスカレーターは少し長い。そこでも同じ。自分と会っているような変な懐かしさがある。連絡通路で人を待つ人はいない。指名手配の張り紙を横目で見る。待たないでいる。
今も恥ずかしいことばかりだよ(1/26)
大学時代のサークル仲間３、４人と一年に一度ぐらい新宿で飲む。「仲間」と言っていいのか知らないが。他大学のシナリオ研究会という男ばかりのむさいサークルに、映画好きの女友だちに引きずられていっただけの「お客さん」だったから、私は。共有する「思い出」は限られている。それが卒業していつからかなんとなく混じっているようになって、頻繁に会った年も、結婚したり子どもができたり生活が大変だったりして疎遠になった年もあって、羽振りがよかったり悪かったりしながら、飲み会が続いてきて、ようやくこのごろ少しはうちとけて話せるようになった気がする。「いい齢だよね、ヒグチさんも」、そう言われてガックシくるけど、一緒に飲んでいられるならいいか。なるべく長く、顔ぶれが欠けないといいな。そう思うようになってきた。週末の新宿は混んでいて、「くらわんか」という東口近くの郷土料理店に今日も入れなかった。
幸せってのはバカになることなんだね(1/19)別れ際、年配のおんなの人が私の手を強く握ってくれた。思いがけなかった。にぎった手のかんしょくはやわらかく、あたたかくて、それがかえって人と人とのむすびつきのはかなさを かんじさせる。
むかしつきあっていた人と電話してイライラしてささいなことから口論のようになる。かけなおして謝る。理性ある私でいたいという、自分のプライドを支えるために謝る。しばらくして向こうからもかかってきて、今度はもう落ち着いている。「また電話する」と彼が言い、「電話して」と私が答えた瞬間に、沈黙が恋しい気持ちに浸される。好きだった顔が浮かんだ。うれしかなし。
一度きりの人生しか選べない。
さえずり（1/11）
「返事はいりません」と留守電にメッセージが入っている。そう言われても、２年前の私なら折り返し掛けた。でも今は掛けない。
「返事はいりません」と、２年前の私なら吹き込んだ、ほんとは声が聴きたくても。でも今は違う、「電話して」と吹き込む。
遠慮していると後がない、そんなふうに思えてくる。こうしてだんだん、ずうずうしくなっていくんだろうか。あなたも遠慮してちゃだめだ、そう相手に言いたくなってくる。
きょうはバウムクーヘンを食べました。返事はいらないと言った相手のことを１週間ぐらい頭の中に揺らしていて、快晴の午前、受話器を取る、やっぱり、元気でいるよと呼び交わしたくて。
初・・・(1/6)
自転車を降りて駅に着いてから気づいた、ブラジャーついてない！
くらくらいたしました、ノーブラで出歩いたことなどないのです、しかもこれから遠出して詩人顔してハナシアイしないといけないというのに、ハタシアイとかアイシアイならまだしも。あんまりさぶいんで、シャツを重ね着してセーター着てシャツブラウス着てジャケット着てマフラーまいてコート着たら体に衣類が密着したため、すぐには気づかなかったらしい。
でも、普通、忘れます？ いつまでもオヨメに行かないとこんな子になっちゃうのね。みなさん、気をつけましょー。それでセイコーじゃなくてコーリューは無事に終わりました。
サイテーから始めよう(1/4)
昨年暮れ、レンタルビデオショップ・アコムへ行ったら☆サイテー映画コーナー☆という棚がすき間を利用して出来ていて、私のベスト３に入るマカヴェイエフの『スゥイートムービー』が「悪魔の毒どくモンスター」と並べて置かれていた。20世紀最後のショックなできごとだった、そんな私はおしあわせな人です、しかし
「これで眠くならないあなたは本当の天才かも」と紹介されたエド・ウッド作品や「下品でなければ傑作なんだけど」ど書かれた『ピンク・フラミンゴ』、お下劣スプラッター、アート気取りのできそこない映画より、さらに格下扱い、棚の足元にコメントもなくさらされた麗しのマカヴェイエフ、人間について考えることなくして見られない感動的変態と絶望と希望…。良心的レンタル♪初めてのアコムよ、あなたにはわからなくていい。
一般社会に対するそこはかとない抵抗感を覚え、あたらしい世紀を生き抜く力が湧いています。
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