山崎将弘
←画像をクリックして聴いてください, 2.5′
| 最初（98年7月）に作品を送っていただいた時にはその詩の若さにビックラしました。 ピカイチや、記念しくだいでおなじみのヤマザキさんです。 お会いしてみると、私より年若いことをふっと忘れてしまう、そんな落ち着いた雰囲気の持ち主。 熱のこもったこの語りは、演劇の経験があるからというだけでなくて、山崎さんの気質を よくあらわしているなあと思います。じっくりとお聴きくださいませ。 喋ってマス→ from higuchi |
思い出してみる --------------------------------------- 書くことなんて何もないな 本当に？ 思い出してみる 昨日の光景 うちの近くに公園があって 時間に遅れまいと、自転車飛ばす僕の目に入ってきたのは、 公園の公孫樹の木陰に、老夫婦 おばあさんは車椅子で、鼻には半透明の細いチューブが差し込まれ、 サイドの金属棒には黄色い点滴液のパックが吊るされていた おじいさんはベンチに腰掛け、スプーンで一匙、一匙 おかゆのようなものを、おばあさんの口に運んでいた 眠るように咀嚼する こぼれないよう、厳粛な面持ちで待つ 雨あがりの午後 木洩れ日に、きらきらひかる 僕は、そのまま、走り過ぎた それからずっと忘れていた、今日一日 そして、今思い出した もうすぐ明日になる 忘れないよう、書き残しておく |