| ＊後半戦だ、おまけ 2002.9-12 |
青と白
その高いところは、空気が薄くて、少し動くと心臓がバクバクしてしまうのだと言う。目の前は、青と白にはっきりと分けられた世界なのだと言う。青は空、紺碧に近い、黒みがかって見えると言う。白は雪、地面。私たちの生活している陸。ただ、キレイ、ということだけで満足する。
遠いくにのことを話すときだけ能弁な人の言葉を頭に再生しながら、私は、近くて遠い、入ることのできない部屋にいる別の人の声を思い出して聴いていた。「思い出が作れて満足」と、目の前の人が突然言うので我に返る。思い出ってナニ。 見ることはできない、誰のこころのなかも。入った、わかったと思うことが誤り。あの部屋のドアは閉じられた。繊細な防御扉。震えが伝わってくる。でも開かない。開かないということが、私をさみしく、落ち着いた気持ちにさせる。触れないでいるほうがその人に共感を覚える皮肉。
「ストーブの上のヤカンの位置で喧嘩してるんだからあきれてしまう」、家族のことが話されている。両親を受け入れている人たち。触れないでいれば、ずっと、青と白の話を聞いていられる？ どの人の部屋にも防御扉がついていて、稼働したり暑さで緩んだり時に大きく開かれたり凍てついたり壊れてヤケになったり新しく整えられたり、している。そんな様子に、ひかれてしまう、私の部屋はどうなっているんだろう。人の部屋を通してしか、自分の部屋を見られない、いろんな色が落ちていて、困ったことだ。12.24
足りないもの
ココに書くことが、他人の対応に反映しているようなのでいやです。はいはいすみません確かに私は気弱なことを書きました。が、ネタなんだってバ。どんな感情も。たとえば人の死も。文章を書き始めた時から堕落がはじまってる。そしてあんたもあんたも堕落してる。堕落しきらなきゃなー 12.18
誰を好きになってもいいのよ
的確だったアドバイスシリーズその３。失恋したときに効いたヤツ。「いいじゃない。これから誰をどんな人を好きになってもいいのよ」。
わお。なるほどぉ。でも、そのウルウルと切なげな目は、ナニ。人の妻のきみよ。
前倒しで厳冬がやってきて、うれしいのはお風呂です。屋根があって風呂に入れるしあわせ（ついでに新聞書籍を持ち込んでリンゴやアイスを食いながら読んだりできるしあわせも）、忘れぬように。12.15
じゃないよ
空が白んできてようやくなにかにあきらめがついてベッドへはいる。懐かしい感覚。一日あったことを思い浮かべる。「大人でしょ」と、同僚の年配占い師が電話をかけてきた。１２月の勤務を私がパタパタとキャンセルしたことについて（おそらく有り難いことに母親のような感覚から）諭しているのだろう。年上のひとは諭すことがすきだ。自分の満足のために。私もついそうなりがちだ。ヤダヤダ（シリーズ）。年末調整のために生命保険の控除申告書を書いた。払いすぎていると感じる。30歳になった春にたくさん保険に入ったのだった。はじめて将来に不安を持ったからだな。５月や６月にもらっていたメールの返事をいくつか書いた。こんな返事じゃうれしくないだろうと思いながら自分の満足のために。それ以前のものは今更返信することをあきらめた。いなかの妹に八景島で買ったアザラシのぬいぐるみを宅配便で送った。サンタの帽子をかぶせて。喜ばないだろうと想像しながら自分の満足のために。自分の満足がなければどうして行動できるんだ。諭しても困ったとき助けてくれるわけじゃないだろう？ 身を守らなくては。いろんなことがごっちゃになって、こころがひんやり、だ。「でも、その炎は。炎はどうした？」、か（先月号参照）。ウェブで新しいことをやろうというひとの熱にふれて自分の冷えを意識した。でも、もう今日は充分だ。くたびれて眠れるまですべての人が眠りきって私の番がくるまで起きてみていた。大人じゃないと思われることばかりしてみた。とてもはずかしい。でもかなしくて開放されている。12.8
求む、アドバイス
”的確だったアドバイス”シリーズ。いつも頭にくることばかり言うＹ氏から投げつけられた言葉で、効いたヤツがあった。それは「精液まみれ金まみれのくせにっ！」、である。
すごいこと言うなぁ、と、ショックを受けたが、それまでの激しい動揺がスッと消えてしまった。蔑まれたようにも感じなかった。そうだよなぁ、（あ？、否定しきれるものですか） まみれてるくせに小さいことこだわってても仕方ないよな、と、ふっきれた。言葉というのはわからないものです。今でも思い出して感動したりする、その素敵な響き。2002.12.4
血の巡りの悪い季節だからか、いろんなことに怒った血がなかなか冷めないのです。ヤダヤダ。こんなとき「死ぬしかないよっ」「まみれっ」を超えるインパクトあるアドバイスとは。送ってきてください。「猫の耳に半田付け」とか、わかんないやつは困るなぁ〜。
センパ-イ「絶不調だぁ〜」と叫んだら、「死ぬしかないよっ」と吐き捨てられて、ふっきれた。そうだよ、死ぬしかないよと思ったら、どうでもいいような気になってきた。そして皆で餃子とピータンを死ぬほど食べに向かったのだった。的確なアドバイスをくれたカノ人はいつものように消えていた。私の不調なんかは不調のうちに入らないのだろう。
それでもまだ重たい翌日。煩わしく伸びた髪を切りにいく。久しぶりに会った担当ワタナベさん、唐突に、「忍者のことは詳しいですか」
？
この美容院の店長ワタナベさんはいつでも、サービス業のなんたるかをわたくしに教えてくれる。どの客がどんなものに興味を示すか把握しておき、顧客に「私のことをよく覚えてくれているなぁ〜」という感動と満足感を与え、リピート率を高めるのである。
私のカルテ備考欄には「手相」と書かれているらしく、髪を洗ってくれたかわいい女の子からも手相の話をされてちょっと緊張した。で、忍者?・・・。忍者は本当にいたんでしょうか。いたんでしょうね。忍者は詳しくないんですか。うぅん恐竜とかなら少しは。ああそれならこんなのはどうでしょう。と、持ってきてくれたのはネッシーとかイッシーとか世界の想像の怪物たちを生々しいイラストで再現した本。巨大ガメとかニョロニョロした水中生物、ヤギ人間・・・ヤギ人間はいないでしょうねぇ、でもユニコーンはいたんでしょうね、ドラキュラはいたんでしょうか。いてほしいよね。えぇ！殺人鬼ですよ、きっと人の血を吸うのが好きなナントカ男爵がモデルなんです、吸われたら死にますよ。んぬぅ。妖怪はいるんでしょうか。は、生き霊とか霊の世界はあるだろうけど妖怪は、いてほしいけどいないんじゃないのかな。えぇいないんですか、でも座敷童子はいるでしょう？ ・・・・鏡に映る私のヘアスタイルは腕自慢のワタナベさんのおかげですてきに整えられつつあるが、手元にはおどろおどろしい怪物絵巻。「あまりご覧になりませんね」との追い討ちがかかる。
熱心に解説の文字追っててもおかしいと思うんデスケド。「そうですよねぇ〜。ところで、上野の西郷さんが連れている犬の名前を知っていますか？ 今度までに調べておいてください」
なんとなく私は特別なのかしら。そう思わせて確実に次回へつなげるワタナベさんのテクニックに学ぶところは大きい。が、正解なのかそれで、私へのサービスは・・・。
犬の名前、知ってます？
ワタナベさんは犬の名前が気になって、上野公園の銅像に説明が書いてないかわざわざ休日足を運んだそうです。書いてなかったそうです。でもそれなり散歩して満足したと言っていた。ワタナベさんはしあわせ上手な人だと思う。そんなふうになりたいなぁ （結局いやしてもらってる私。年若いけどワタナベさんはサービス業のセンパイだ）
11.22
ジャケット、借りるよ
明日は、露天のような占いコーナーへ出るので（遭遇してもムシしてね。あは）着ていくものを考えるが、適当なものがない。押入れをあけて、２年前にいなくなってしまった友だちの衣類が入っている包みを開いてみた。強い防虫剤のにおい。部屋中にたちこめる。当時、友だちのお母さんが「着てやって」と持たせてくれたのだが、見えない場所へしまいこんでしまっていた。生身の肉が触れていた衣類に腕を通すことなんて、それ以前に目にすることすら、くるしかった。せめて写真だけはと、自分への罰のように毎日目にするところに置いた。その写真を、余りうしろめたさなく見るようになってきたこのごろ。忘れてきてしまったということなのだろうか。サチぃ、明日着ていくもの借りていいかい。サチの気持ちはわからない。もう一度、喋りたい。その気持ちが消えることはない。気まずい間柄であってもさよならをした人であっても、今いる人たちがいつまでもそこにいてくれることを、願ってしまう。…なぜ、自爆したり殺したりたやすくできるようになるのか。恵まれた環境にいるから、こんなことを言っていられるのか。このにおい、明日までに消えるのかな。
「人の話は面白い」なんて呑気なことをfrom higuchi（プロフィールページ）に書いて夜勤に出かけたら、ディ
ープな相談が続いて、水を浴びたようなショックで呑気さ吹っ飛ぶ。行くべきはココじゃないだろ、精神科だろ、児童相談所だろ、生活相談所だろ、そう言いたい人ばかりだった。そうであってもココへ来た人なのだから、私は医学の知識もなければカウンセラーでも生活相談課員でも近所のお姉さんでも肉親でもないのだから、職業人（変ですか）としてその人の特徴を見つけて目指した方がいいとみられる方向や避けるべき行いを今現在の力量で示すことしかできない。というより、それしかしてはいけないと思う。ましてや「私の知り合いもそうだったから大丈夫」なんて個人的経験に基づく慰め、私的倫理感、一般的な考え方を口にしてはいけない。そんなことは相手は望んでない。さらに、切なくて涙ぐんだりなどしてはいけない。そうはいっても、その人たちの後ろ姿を見送りながら、私は私個人に戻ってしまった。（なんて怖い仕事なんだと思うのはいつものことだが） なんてつらい世の中なんだ。頼りにならない父親や母親や友だちや恋人や夫や妻や、国、に代わるおおきなあいじょうがわたしたちをつつんでくれますように… 祈ってしまう。そんな宗教心のようなものはこうして自然とうまれるのだろうな。でも、それがまた殺人にも結びつくんだね。慰みに私たちを創ったの?カミサマ。
こんなふうに考えていても、ささいなことで大事なひとをなじってしまったりするんだよ。10.25
ちょっと遊んでいきますか？
朝帰りするようになって気づいたのは、６時台の電車にも案外、多くの人が乗っているということ。紺色のベレー帽をかぶった小学生の女の子が放心したように顎を上げて座席に浅く腰掛けていたりする。最寄駅へ着くと、通勤時の混雑が始まりかけている。
みな、生活しているのだな。なんて当たり前のことを思う他は頭が働かない。自動機械のように足が寝床（楽園）に引き寄せられていく。
今朝は、結婚相手は出てくるだろうかと問うお客さんと３時半まで話してた。ちょっと遊んでいきますか、と言わないように気をつけた(10.10)
10月は、月曜がダイエー碑文谷、水曜（18：30〜2:00）がＰＡＷかわさき、火・土・日曜が横浜八景島、他に出ています
さみしがりやの蝙蝠傘
赤いシャツ。買ったばかりのゴールドチェーンのネックレスを付けて、娘より年下のあいじんに会いにいくひと。ひとなつっこい顔をして、さみしい手をしてる。死にきれないよ と言う。折り紙を折ってくれた。同じように５枚折り、糊で張り合わせると撫子や菊の花になる。「たくさんつなぎ合わせると薬玉みたいになるんだよ」。疑うことを知らないところが私と違う。あなたが糊を買ってくるあいだに、私は消えてしまおう。(9.17)
新宿へ行くと、どうも悪い。家へ帰りたくなくなる。大声を出しておまわりさんにひきずられていってしまいたい。・・・雑多雑踏のせいなのかなぁ。もう!ゆったり温泉効果が消えたのか。いや温泉のせいで濁った血の勢いが出たのか。涙が出ちゃう（たんに秋だからなんだろう。単細胞）。しょうがないからデビット・リンチを借りてきました。物狂いをしずめるにはさらなる狂気でＯＫ。・・それって危ない思想か？ さらなる狂気の上をいく血と涙と怒りと笑いで青ざめる感動の大馬鹿戦争大作とか、作ることはできないものなのかな。のんきなものだな。
９月は月（夜）、金曜がＰＡＷかわさき、木・土・日曜が横浜八景島。変動もアリ(9.13)
旅行だけが目的の旅行、久しぶり。家にいれば何をするでもなくあっという間に過ぎてしまう２日間が、別の人の時間と入れ替わったみたいにゆっくり漂っていた。各駅停車の列車にゆられて、見苦しく足を投げ出して、葡萄を食べて。お風呂入って眠って食べて眠ってゆられて眠って…晴天の日曜日、美術館を出て見上げた雲、落ちてくる陽の色にやわらかく縁が染まってほの暗く赤くはてしなくて、飾ってあったコローの空よりきれいだった。ぜいたくでした。もうちょっとがんばれるかな。(9.9)
も、う、す、ぐ、８月が終わる。も、う、す、ぐ、終われば。も、う、す、ぐ、だ。一日の終わりには潮風のせいで皮膚がベタベタ。水分を含んでカラダ重たい。新杉田の駅でトマトジュースを飲みながらホームに立っていると、疲労とへんな充足感から、向かってくる電車に吸い込まれるように飛び込んでしまいたくなるときがある。その話をすると、「私もむかし忙しかったときにそんなことがあった」と60歳過ぎてるけど50前にしか見えないやり手のセンパイが言った。死にたいんじゃないんだよな、もう充分やったじゃないかという思い。まだ早すぎマスカ？ 「私はもう満足だよ」と、ときどき君に言うけど、それはどういうことなのか私にもよくわからない。
自分のことばっかりだな。だれもかれもが。うんざりするけど、愉快だね。トマトジュース、毎日２本、できればＪＲ大清水シリーズ。(8.30)
真夜中の非通知ワン切り。
凡人に多くを望んでくれるな（8.26）
| TOP PAGE |最近のおまけ |もっと古いおまけ |