楽 園 案 内 ・ 園 原 潤
プール
本日は水中眼鏡を忘れた
したがってうまく泳がない
それでも僕のプールは水びたしで
ビーチボールとワニと潜水艦であふれかえっている
プラネタリウム
円屋根に隕石が落ちて
満月を充分に楽しむことができる
ココナッツ林
なにかというとすぐに
虎のようにじゃれ合いたいという恋人たち
彼等はみつめ合ったまま凍りついて
その情熱は僕のクルードネスな指先に似ている
斜塔
そのてっぺんから
コンガとボンゴとコーランに合わせて
ゼリィの湖水に飛び込む土人たち
水晶宮殿
セロファンの植物と硝子
レモンの輪切り
ではなく
観覧車の回転について
述べる必要を認める
その速度は軽業師の大車輪のスピードを
維持する必要がある
さらにそれは永遠のダイナモでなければならない
砂漠
椅子もインクも魔法瓶もなく
グランドピアノもない
猫目石の好きな王女と鍵
気球
彼等は遠方からやってきた
サイケデリックな模様のアドバルーンに乗って
言葉は通じなかったし笑わなかったが
カルヴァドスで乾杯して別れた
最終世界
夜のパノラマは剥がされた
地球も象も自転車も眠り
秋葉原の電飾さえ消えて
すべておしまい