愛あるきょう、あした（あさって） その第４回
text: toshiro shimura
| 快楽か、病気か、それが問題だ （……注：見出しは志村） |
「気をつけろと言われても、どう気をつけるのでしょう」と 前回のぺんてかさんからの疑問。
確かに、風邪でも 気をつけてねと言われても、ひく時はひいちゃうんですよね。
性病も同じかもしれません。しかし、性病は気をつければかからないんです。そう、セックスしなきゃかからないんです。でも、しちゃうから、かかるわけです。これでは答えになっていませんね。
セックスをしても、性病に絶対にかからない方法はないかもしれません。コンドームをしてもオーラルセックスすれば危険性はあるし、１００％大丈夫という方法はたぶんないでしょう。
セックスする前に、自分や相手のからだの異常に気をつけるのは、性病にかからないために大切なことだと思います。でも、それはなかなかできない。もっと大切なのは、おかしいなと気がついてからの対処だと思います。おかしいと思ったら、セックスはやめて、早く病院に行くこと。それと、パートナー（配偶者や恋人）との関係でしょう。もし、ひとときの遊びでよそで病気をもらったのなら、パートナーには移さないようにすること。
不幸にもパートナーからうつってしまったら、山ほどいいたいこともあると思いますが、治すことが先決です。けんかしたり、別れたりするのはその後で。自分のからだを慈しみ、相手のからだを慈しむこころ、それが気をつけることの第一歩だと思います。
さて、今回お話するのはクラミジアです。これは淋病（第２回）に似た病気ですが、現在ではもっとも患者の多い性病です。若い女性の２０人に１人は感染していると推定されています。
どうしてこんなに増えたのか。 一つには症状がはっきりとでない点があります。
淋病と同じように尿道や膣に感染して膿が出るわけですが、男性の場合は比較的はっきりと膿が出てわかるのですが、女性の場合、あまり目立った症状がでない場合が多いのです。
そのため、知らないうちに感染が広まっていってしまいます。もはや、風俗で遊んでいる人だけの病気ではありません。
クラミジアと簡略化して呼んでいますが、クラミジアにもいろいろ種類があって正式にはクラミジア・ト
ラコマティスという細菌が原因でおきる感染症のことです。
細菌といっても、淋菌など本家の細菌とはちょっと変わっていて、ウイルスのように細胞の中で増殖します。
潜伏期は1〜2週間で 淋病よりやや長めです。
クラミジアも淋病と同様にオ−ラルセックスでも感染します。 クラミジアは性器だけでなく、のどにも感染するからです。
その人からフェラチオをしてもらえば感染する可能性があるわけです。 のどに感染した場合は扁桃腺炎になります。
オ−ラルセックスしてから、特に風邪でもないのに、のどの調子がズ−っとおかしいということがあったら、少し疑ったほうがいいかもしれません。
性器には感染してなくて、のどにだけ感染している場合は、おしっこの検査ではわかりません。のどの中をこすって菌がいるかどうかを調べます。
治療は抗生物質で完治します。でも、きちんと病院に行って薬を飲めばの話です。
繰り返しますが、クラミジアは症状がでにくいので、感染していても本人が気がつかず、放置されている場合が多いのです。
特に女性の場合は多く、知らない間に何人にも感染させてしまう結果（何人ともセックスした場合の話ですが）になります。
長い間、気がつかず、妊娠して産婦人科に行って初めてわかったということも珍しくありません。
妊婦の約５％の人がクラミジアに感染しているという報告もあります。感染したまま放置しておくと、不妊とか流産という恐しいことにもなります。
もし、複数のひととセックスしている女性は、たまには婦人科に行って検査をしてもらったほうがいいでしょう。
そうすれば、また安心してセックスに励めるわけです。
もちろん男性も検査した方がいいわけですが、男性はたいてい膿が出てわかりますから、その時に病院に行けばいいでしょう。それでも行かないとか、不幸にも（自分では幸運と思っているかもしれませんが）症状がでなくて、放置しておくと、男性も精巣にまで感染が進んで無精子症になることがありますから要注意。
尿道炎を起こす性病は、淋病とクラミジアのほかにもあります。いくつかの菌が原因なので、ひっくるめて非淋菌性非クラミジア性尿道炎と呼んでいます。菌についての話はしませんが、症状はクラミジアとほとんど同じで、
潜伏期1〜4週間で発症し、尿道から膿が出ます。 やはり、女性は症状がわかりにくい点があります。抗生物質をきちんと飲めば治ります。
夏も終わり、めっきり秋らしくなりましたが、先日、夏になると10代の中絶が増えるというニュ−スが流れてました。それを見ながら、性病の患者も増えるのかなと思いましたが、今年の夏はどうだったのでしょう。こころあたりのある方は、お早めに病院へどうぞ。（2001.Oct.志村）
＊アメリカでは、結婚するまで童貞、バージンを守る「純潔リング」がはやっているとか、セイフ・セックスはもう古い、今はセイブ・セックスがクールだ、とかいう記事を、ちょっと前の「ディアス」という週刊誌で読みました。しないでいられる人もいれば、いられない人もいますよね。奥さんに全くその気がなくなってしまったのでファッション系の店に時々行かざるをえないと言ってる男性の知人は少なくありません。反対のケースもあるでしょう。本番しないでもビョーキ伝染りますよと言うと驚く人も少なくありません。綱渡りだよ、人生は? 志村さん、無病息災、なによりでした。あいあるパートナー、みつけましょうね（ぺ）
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