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妄想パーマネント 山本しのぶ
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| あたまが半分 |
| 雲の中に浮かんでる事をたしかめる |
| これから素敵な雨になろうとする雲のかたち |
| まぶたの上で整える |
| ケムリみたいに軽くなって飛んでゆけたらな |
| おとこのひとの形がみえてくる |
| 高い空からみおろして |
| すきなところで降りてゆく |
| 旅立つスイッチはいつも |
| あたまのなか |
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| 台風が去ったあとの混乱ぶりで |
| ひととすれちがったりまじわりあったり |
| 空気管にぎりしめて何本も挿入した |
| 手触りがいいかんじ |
| ふくらんで |
| 浮かび上がったら |
| つかまえていいよ |
| 入道雲の爽快感は望めなくとも |
| 一匹のはぐれ雲を目指しているの |
| 頭上でめぐりあう異性のにおい |
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| 後ろ髪にはりついた |
| 秘密の暗号がひとりでに解凍されて |
| 展開してゆく |
| 妄想パーマネントの発動で |
| 束ねた神経が脈うっていい気持ち |
| いいきもち |
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| かき乱す置き去りのことば |
| を料理して |
| 持ち主のいない空へぶちまける |
| 飛び散った毛先の方向は |
| 見当がつかない |
| 予測不能な通り雨になるための宿題 |
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| 軽いタッチで罪悪もなく |
| 流れてゆく |
| きわどい海面もすれすれに |
| あたまのなかの砂漠を超えて会いに行くよ |
| 見覚えのないしぐさに発動する |
| 脳みそも |
| きっと雲でできてるんだ |
| 知っている顔の知らない部分が |
| 脈打って |
| いいきもち |
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