投稿作品

東京JAZZ 2003

もなみ

５万人収容のスタジアム

あなたは隣りに居る　いま　音楽を聴いている

上空の速い風に雲は流されて、途切れ途切れに太陽が落ちていく

確かに風はそこに在るのに

この身体が汗ばんで、首に張りついた髪先は　もう　風に靡かない

渇いているの　と　手を伸ばす

そのペットボトルはあなたの手の中でぶるぶると震えている

"This song is for Africa......"

届けられる声は力強く、魂を誘う

あなたは歌う　アフリカを　想う

笑い泣き怒り歌い踊り、ときに誰かを恨み憎み、そして愛し愛され愛し合う

まだ見ぬ大地が　青空が　見えるよ

そして風は・・・

アジアの東端、日本という島国で生まれた小さいけれど熱い風は

沈んでいく太陽を追いかけ

西果ての地を目指してゆく

Dose it rain on the ground which wakes up nine hous after?

渇いているの　と　手を上げる

頭上でくり返される拍手喝采に、湿った大気がぞうぞうと震えている

ヒトツニナル　微熱　熱狂　狂喜　喜楽　楽欲　わたしはヨロコビト

"......spiritual people, spiritual people, spiritual people, spiritual......"

天つ風が闇を呼び、闇は灯りに包まれて深まっていく

あなたが見える

あなたは見えない

憧れていた声が見つけてくれる　ここで　音楽を聴いている

口ずさむ歌　揺れる唇からこぼれるものは歓喜

”for freedom"

繋いだ手から伝わる温度は偽物ではなかった

あなたは歌う

あなたは歌う　世界を　想う

I wish to the star which shines in the southeast sky

もっとリズムを　　　I need more rhythm.

もっと音楽を 　 　　You need more music.

もっと自由を　　　　We need more freedom.

過去と未来がちょうど交差する　いま　ここで　音楽を聴いている

(dedicated to N'Dour & Speech)