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ゴミの日
真方虎之助

     
月曜日が最後の
粗大ゴミの日のつもりで
捨てる物を決める
どんなカセットテープでも
もれなく絡め取る悪癖コンポの
千切ってもよい配線を外して
まずはスピーカから
     
ステレオの形で残る埃が
まるで
     
今までこの部屋を音楽で満たしてくれていた黒い塊の
影を残して
感傷していないで早く拭けよ
と言っているようでもないので
そのまま
     
蛍光灯は別の日に捨てなければならない
捨てることが難しくなっていくよ世の中
それで何を思い起こしたとしても
8月からこの地区も
粗大ゴミの回収が有料になる
      
ではね
世代の交換
スピーカをゴミ捨て場へ運び
本体を取りに戻る
白い埃が
黒いセータに移って
何のつもりなのか
払ってもまた
本体を運ぶときに埃がつくと思うので
そのまま
   
もうひとつのスピーカと本体を重ねて担ぐと
腰がぴくりと痛み
そのまま
勢いをつけて
要らなくなったら自分で
消えてくれてもよいのに
そうして消えていくのは
後から
大切だったと思える影ばかり
「そこ置いといてくれ」
リサイクル業者のおっさんが言う
さっき運んだスピーカは
もう他人の顔をして
軽トラの荷台に乗っている











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