お祭りの必要性

樋口えみこ

夜ってキレイだねバーバ

ほら夜って　--------　渋谷、地下を出た男の子の瞳の輝き

あいまいにうなずく老婆の手から彼をもぎとって

ザンザンブリにこづき回す（ＫＩＳＳ）

イメージ　１０００ｍ坂の上から頭から続いていくよ私もいく　蹴飛ばして

-----　目をぎゅっとつぶるよ

キレイなんだね　hadakanomune

裸の胸　sanno warau kaho　----　さんの

わらう　顔よ

きょうも吐くほど 食べてミナは私の胸の深くに領収書を押し入れた

待ち時間の

長い踏切の左側に立つのはいやだ　花束が供えてある

暖かいところで　ガンガンガンガンガンガン

きもちよくしていますようにように　二回 ちょうどそのくらいの幅だから

レールを踏んで繰り返す　びょうびょうとしてるのはいやなんだ

しろい猫の子を裂いて

あたたかに匂う内臓にまみれて

手応えの淡いお祭りを噛んで 「言って」　　もうオシマイだからって

ミナはわざとキュロットの腿を 私の目の前で高く抱える

嵐の通勤路は 汚泥に翻弄されている

古びた鳥居のわきで急ぎ足を停めた　 前をゆく人と

見知らぬ私は

殴打する雨風に どの家の内側からもきつく 　鍵をかけられている

停まっちゃってる　　わたしたちの距離のはかなさ

頬を押しつけた泥水の、びちゃびちゃに濡れた衣服の内側から青く発火するわたしたちは

キレイだよ　（落ちちゃう　　ねえ）、

地面の、　懐かしい　 におい