10月の☆ピカイチ

影踏み
しみずあきこ




影を踏む

踏もうとするそばから影はもうそこにない

そこにないことを知っている

それでも踏もうとする



影を探して

右、左、あらゆる方向

僅かな秒間さえ瞬きもせず

目が乾き痛みに変わっていくのに耐えながら

それでも私は踏もうとする



日が落ち

辺りが漆喰の闇に包まれて

晴れて私は盲目になる

目を閉じたまま 影を踏む



踏むための影を

いつまでも

泣きながら探し続けている






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