今月のピカイチ！
my heart is like a satellite of yours.round round and around you.／ゆきよ
チーズ色したチワワが喧しく吠えている。
その傍らで、口笛吹いた。
屋上に並べられた薄いブルーのビンには何かが注がれていて、
粒子が粗くなるほど強い陽射しを浴びると砕けた光を撒き散らし、世界を塗り潰してゆく。
つまり、
ペンキ塗り立て。行き止まり。
本を開けば、
身体に眠ったままの種が一斉に芽を覚ます。
イロトリドリの花が咲いて、物語は甦る。
ほら、
耳を澄ませば生まれたばかりのシンフォニーが聞こえてくる。
自惚れたままの菜食主義者なんてイチコロで沈んでしまうだろう。
そして、
本を閉じれば、
すべての花は、一度だけ、大きく空気を吸い込んでから破裂する。
幾千の色が、
幾億の死骸の上に、落下する。
撒き散らされた花粉で、視界は黄色く染まってしまう。
でもそれはきっとまぼろしだから、僕が埋もれて沈むなんてことはない。
きれいな水。
きれいな糸。きれいな歯。
きれいな理想。
きれいな背骨。きれいな道路。
呆れるばかり。
柔らかくて底が深い羊毛が遮って、濁ってしまった。
減速する体温は、
次第に酔いを醒ましながら、不規則な敬虔を明るみにする。
いつも。的確に。
古典が誘うハッピーエンドへ、
最後は飛び込むだけなのに、
踏み止まって、何も捨てられずにいた。
いつも。
傍らで、口笛を。
彼女は、
週末、一人で劇場へ向かう。もちろん、特別な意味はない。
ちいさな歯。ほそい顎。みじかい髪が跳ねている。
記念日を祝うなんてがらでもなかった。
みんなウソが大好きなのにそれを隠してしまうのは、
もっとくだらないものを信じて頼っているから、裏切るのが怖いんだ。
屋上に薄いブルーのビンを並べながら教えてくれた。
彼女の口笛は下手だったけど、僕は大好きだった。
それから一日と半分だけ、一緒に雨が降るまで待っていた。
奴らが踵を返して街を去る。
僕らはおおきく手を振った。
手を、振った。
手を、振った。
手を、振った。
手を、振った。
手を、振った。
手を、振った。
手を、振った。
おおきく、てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
てを、ふった。
おおきく、てをふった。
おおきく、てをふった。
おおきく、てをふった。
おおきく、てをふった。
おおきく、てをふった。
てをふった。
てをふった。
てをふった。
てを、ふった。