penteka投稿作品 　　　　　

春のために

あおいあお

秋のはじめにあって

樹木は殺気に満ちている

葉はすでに震えている

鮮やかであるほどなお弱い

生きてきた葉は

最後にひとはら揺れながら

観念したように地上に横たわり

自らが墓標となる

きしきしと

造作もなく踏まれ

やがて大地に還る葉は

抵抗をしない

最も不安な季節に

孤独になった枝は

空の透明に突き出し

春のために待つことをする

あおいあお profile/2001.TOP/TOP PAGE/今月の作者紹介