私の歌を
鳥に半分
猫に半分
食べさせました
私の歌は
1
1―（0.5+0.5）＝0
私の歌は0
0の歌を
あなたに全部
食べさせて
私は歌をなくしたの
あなたの歌が歌えない悲劇！
劇？そうね劇ね
≪学校の隣の公園。私は歌をやった猫と鳥に歌を返せと電話した。歌の鮮度を怪しんでいた二人は喜んで走って返しにきている。≫
猫：おい、鳥。どうして走っているんだ？鳥には翼があるのに。
鳥：おい、猫。それは鳥の勝手というものだ。それに猫こそなんでそんなにゆっくり走るんだい？猫ならこの10倍は速く走れると思うが。
猫：猫は鳥と違って素直だから素直に答えよう。僕たち友達じゃないか！猫は鳥と一緒に行きたいから早く走らない。鳥は猫と一緒に行きたいから空高く飛ばない。そうだろう？
鳥：そうさ！猫が好きなんだ！そして二人であの歌を分けた。友情も時に厄介になる。
猫：そうさ！鳥を恨むぞ。木の実ばかりをつついて生きているのん気な生き物でない猫として言っておくが、最初から僕はあの歌の腐敗臭に気付いていた。友である鳥の意見と言う重りでなければ、これを食うまいという僕の重りを傾かせることはできなかったのだ。
鳥：僕はただ……
≪一同私に気がつく≫
私：（土下座で）「歌を返して！」
猫：のぞむところさ！そんなことしなくても返すよ。あんたの歌腐ってたよ。
猫∩鳥：歌を吐く。
≪未だ,胃酸の影響はなく 歌は原型≫
私：腐ってたってなんだって私の歌だもの。ありがとう。
≪歌を飲む。歌おうとするが歌がない。悲劇に気付き狂ったように０を食べた彼のところへ走りだす。到着すると彼は半透明になってうずくまって泣いてる。もう私に気付く余裕もない。≫
強い記憶が脳を走る
頭が重くてうなだれて
地面に頭をつけて私は謝ったから（誤ったから）
おかげで私の歌を思い出せたの
それからうれしい悲劇
鳥も猫も歌がマズくて吐いてしまったの
私の歌の半分と半分
次はあなたの番よ
ゼロを食べたあなたが０をもどす番のはず
なのに可愛そうね。
ゼロをたべたあなたがゼロになっていく
あなたが消えて0も消えてしまった
歌が消えた！
私は２度と歌を歌えない
私の歌はあなたのことばかりだった
0の歌が歌えない
あなたの歌が歌えない
でも、私悪くない。あなたのせいよ。
≪彼が消える≫
上 広子 profile/6月TOP/home/今月の作者紹介