ノート#1     dormin




常夜灯の赤い光を見つめながら

WEBカメラに映し出される君とその声

ぼんやりした意識のなかで

先のことを考える

たとえ、別れの時が来ても

僕は後悔はしないだろう

さびしんぼうを見終わった後のように



君の真似をして手に入れた

ユーロジン2mg、まだ眠れない。

この無為な数年間

失われた女をめぐって

運河沿い、森の中を歩き回ったけれど

達成感などなにもなかった

労をねぎらう優しさもなかった


でも、君に出会った瞬間からすべての徒労が

消えうせてしまった



最近は 

ずっと、そばにいられるような気がするけど

物理的に君は遠いので、せめて真似をしてみる

肌寒くなったので僕はパジャマを着て一日ひきこもった

たまにはいいんじゃない? 君は言う


だけど僕ときたら一日中この蜂の巣にいたら

気が四つに散ってしまいそうだ


まだ君に触れることができないでいる

僕は、この薄明かりの辺で



波紋を見つめる



たとえ、このまま君に逢えなくても

僕らは出会ってしまったのだから。