伏目がちな少女 ／ ｈｅ
夜行性だったころは
空のちゅうふくまで声が届かずに泣いて
世界のむじゅんをなじったときは
のどに手を突っ込んで吐くように泣いて
つかいまわしの傷をつけながら
欠けているところを探してはみた
そして髪の毛を切ったけど
別に誰にも気付かれなかったけれど
耳の奥でいつもとは違う残響が
うまれて来たのでそれに身を任せ少し眠った
今さらに見つからないものは多い
少女はそうかんじてまえをすっとにらんだ
チェルシーをきいていたらちょっと痕跡がじゃまをした
手を握らずに体温を確かめるのってなんて難しいと
えいごの名前のひとがいったので美しい
次にそのひとにくうはくを埋める順番がまわったら
私は伏目がちな少女といってほしい
カマキリにのってそのことを伝えよう
お気に入りのカマキリのせなかにのっていく
ピンクのストライプがついて
はやく！
はやく！
三角にわれた谷を越え
ジュウニこぶらくだのような山をかけ
ムーンソラの名刺をのほうゆきでつかい
はいねりのいばらを掻い潜り
はやく！
もっとはやく！
とちゅうのイステではソラチの
ごおおうんというおどしに気をつけながら
落ちているイガの直線をなぞるように歩をすすめ
ラップにくるんだノリまきのおむすびを食べさせて
見えてきたぼうじんのせきくつをぬけたらとうちゃくだから
そのときは朝露が下草を濡らすようにそっと静かに起こしてほしい
カマキリはいっぺんに理解してくれるだろうか
そとはカンカン照りだ
こんな日に限ってバスはごらん
台風のあくる日の海のようになる
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