「夜の未来」　　　　　　　西岡健太郎

顔と顔のあいだにあるのは目だ

目と目のあいだにあるのは愛だ

愛と愛のあいだにあるのは

愛と愛のあいだにあるのは

ここまで書いて

僕は彼女にふられる

無数の雨に

無数の知らない顔と無数の知らない目が

浮かぶ

愛と愛のあいだには単純な雨が降る

雨のなかに複雑な彼女はいなくて

夜の未来は輝かない

懐中電灯の紐がくるくる回って

僕はぶつりと千切れとぶ

濡れた果物のように