ｐｅｎｔｅｋａ

観覧車’９４
dormin





あめが降っているよ
　　　　　
　　　　　
　　　　　　　　思い出すよ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　僕を振ったあの女を


　　　　　　 　　先が見えなくて
あのころ、　　　　　　 　　　　　 弱っていたんだよ
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　訊いたんだ　　　犬を描くのを見て
　　
　　　　　飼っているの　って　
　

そうじゃなくて
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　ただ流行っているから　と
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういってた。　　
　　

九月に訪れた

　　　　　　　　　　　　　なんども見知らぬ駅を乗り換えて　
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　私鉄沿線の電気屋で公団の場所を訊いて　

　　　　　　　　　　　　　　 　花屋でバラを買って　高台にある

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　君のところに向かう途中の坂道に観覧車が見えたよ　



夜だったよ



チャイムを押したよ、　　　　　　　　　　　　君はいなかったよ

あやしい僕は、いえ決して怪しいものではないんですと念を押すと

　　　　　　（それはあなたのお顔を見ればわかりますとそういわれた


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　君に比べると随分扱いやすい　

　　　きみのお母さんに花束を渡したよ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あら私こんなもの貰っていいのだって

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別にあんたに渡した訳じゃないよ


訪ねるべきではないことくらい

　　　　　　　　　　　　　　　僕にもわかっていた　　そうでもしないと収まらないことも
　　　

　　　　わかっていたから

　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不器用な罪を塗り重ねたんだよ



でももうそんなことはどうでもよくて


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とりあえず坂を下りて酒を飲んだよ。


　　　　　帰りの電車でぬくもりに涙を流したよ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　車窓から望む観覧車が滲んだよ。


　　　　　ぼくは完全に可笑しくなって　

　　　　　　　　　　　　　　　　でも訳の分からないくらいハイになって

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（電脳美少女のグラビア雑誌を捲りながら


　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　射精を７回繰り返して、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　寝てしまったよ。


また雨が降っているよ
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まだ　僕は寝ているよ。