影の旗

高岡　力

狙撃のニュースが割り込み　相撲が飛ばされる

ー生死の確認は出来ていませんー

列車の空撮にノイズが走る

店主の無関心に　別れを告げ

夜道へ入る

と　風景の粒が雨となり　行き先が　塗りつぶされる

トンネルへ来る　もう出られなくなる

ピチャピチャ　と　嘗める舌で　オレを見た影

ぼろ切れの様に　オレをひきづり　追跡者の針で壁へ押す

それでも影は　濁りも無く黒く

せめて腐らぬ様にと溶剤をかけ

オレを

刻む

何処へ？　とて　当てはなく　オレは「・・・そうさ・・・」とこたえる

崩れたる壁壁を伝い来たオレ

絡み合う事はないとはいえ　影はオレを欲している

交わしあう闇がないとはいえ　オレ達の闇は　なお遠いのだ

俺は俺の闇にたてる　真っ黒な

影の旗を

拭い切れない恥辱を拭う

拭い切れない恥辱がのこる

ので　拭う　けど　のこる

息をころして　また拭う

そのうち　肉ごと恥辱をはらう　けど　のこる

おまえは　わらう

顔もないのに

脳だけが　ある

むきだしの　脳だ

触覚のない俺が動く

的中された俺には　羽はない

けれど指が６本あるような気がする

もう一組の足や腕が纏わりついているような気がする

蠢くものが的中を続け　俺に終わりを呼んでいても

もう一つ呼吸があるような気がする

記述する意識の浮遊は　詭弁の管に吸われて行く　が

なお遠いのだ　原にでて　吹かれた　俺の内臓が

囲われたここで　縫いあわされていく

また　ばらばらにする　喜びを　味わう為に？

眼は無慈悲にも　弾かれた　原で　いまでも　月を見ている

拭い切れない恥辱を拭う

拭い切れない恥辱がのこる

ので　拭う　けど　のこる

息をころして　また拭う

そのうち　肉ごと恥辱をはらう　けど　のこる

おまえは　わらう

脳もないのに　意思だけがある

むきだしの意思だ

片玉割れている。

今どきセルロイドは逆にオシャレだ　と　オレにいわれて

片目だけで微少に覗く　血まみれのスーツを除けば　ありふれた

サラリーマン紳士であるオレ

影が死んだらしい

と　影が云う

敵も味方もいない