夜中、スーパーにて　　　　　りっと

僕は昼間

家に帰れないでいて

カラフルな鉄を飲みこみ

摩擦熱で

電車を動かしている

夜中は

家に帰れないでいて

スーパーの屋上で

電球を食べ続けている

時々

空から電球をばら撒いて

野菜が銀色に光る

僕の家は見えないままだ

銀色に光る野菜は

食べ物では無い

屋上から眺めていると

友達に似た顔をしていて

かじる

鈍い色の濃淡を思い出して

カラフルな鉄を吐き出す

少し鉄を飲みすぎていた

吐き出したときの

たくさんの摩擦熱

燃やしてしまわないように

やはり僕は

家に帰れなくなりそうで

スーパーの中

電球を飲み込んで

空腹と満腹の隙間に

身体を押し込んでいる