｜投稿作品｜
赤い巻尺
ののこのこ
鷹夫人は相変らず真っ赤な口紅と真っ赤なマニキュアをつけているいつもの
取り巻きだろうか に囲まれて喋りつづけている まんざら間違ったことは
言わないらしいが 鷹夫人の隣の鳩乙女はひとり空に帰ってしまっていた
ことを思い出してしまっていた
いきなり巻尺を投げてよこす
サイズを測れ！ と
ゲームの最中
目の前の中庭に出なくてはならない
巻尺の目盛りは赤く 目に騒がしく入り込む
それならそうだ
塔の上から飛び降りよう
振り返ると鷹夫人はもうおらず
塔の最上階に着くと黒い服を着た鼠男が
窓際に立っていた
どこかに行くのだろうか
黒い帽子と黒い傘と黒い鞄
サイズを測れ！ と
どうやら見も知らぬその鼠男のサイズを
測らなければならないようだ
仕方なくも しかし
どこを測るのだろうか と もてあましてしまう
と待っていたかのように狸が現れ その男の縁であると名のり
鷹夫人の置いていった巻尺を奪い取り 測りだすのだ
その手際のよさにふと
誰が
わたしを
狸男は確かに階段を降りて
中庭は目の前に 花は咲き
to be continued