投稿作品
僕の問題です
真方虎之助
ビルがぁ
ビルが倒れてくるぅ
支えている
耳を塞げば
轟轟と
煤けた街路樹の
悲痛ないびきは
消えるのだろうが
ビルを支えていなければ
これも使命なので
日焼けサロンの看板が
倒れて陽を浴びている
そのビルを支えている
何も不幸な人生ではない
各ビルにはひとりずつそうした
使命を背負っている男が
ビルを背負っているわけで
僕は
カセットテープよりMDのほうが
便利で好きです
この街も
転がってくる石ころが
ちょっと大きな顔をしているだけ
かわいいものです
茶化して
やけに明るい昼
予定の光が宙ぶらりん
干からびた蛙が
のんきでうらやましい
そのそばに
簡単な数式が落ちていて
拾おうとしたら
手の甲に答えが書いてあった
それで
僕は生まれつき
彼らに与えられた
使命を負わずに
「元気で頑張っています」
とか言ってしまっても
「失言っ！」
とか誰にも責められない
僕は
本気で
ビルが倒れてはこないと信じているし
倒れても良いです
“Which a practical reward do you give me?
A sandwich is a walking magician among tall stones.
Do mischief!
Everybody jump a pitfall.”
頭の中に
問2 和訳せよ
「どっちの食べ物をくれるのですか。
サンドウィッチです。
大好物です！
みんな飛び上がって喜びました。」
・・・・・この人はいつも、しらばっくれた顔をしながら内面をぎりぎりと描いてくるから困惑します。「倒れてこないと信じているし倒れてもいいです」そうか、確かにお前の問題だ、と思うのですが「僕」以外にもナンカ関わってキソウに感じさせるところがうまいと思います。確信犯。でも、何の確信犯か、本人もおそらくわかっていないところが、おもしろくもあり、はがゆくもあり。「客観的。」「断片的。」（ぺ）