なつのうた

福畠誠治

青の蛍光ペンの薄さを気持ちいいと思うひとも

スイカからにじみ出る水気のことを考えているひとも

まちまつりのほしまつり

インテンポの歩みは

舗装タイルの欠けたところでつまずいて、

たちまちからだは風景から剥がれ、

世界はからだの皮膚にふれ

絡めとられる

糸をよりあわせ

空気には

ちりちりはためく万国旗

ネオン看板の

ラブホテルの向かいのビルの階段は

尻を冷たくするセメントで

うずくまるひとの

背中を折って塊となったひとの

剥き出しの肩に

ぬるくなった

スイカ汁を

すりこんで

福畠誠治 profile/2000.8top/home/今月の作者紹介