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higuchi emiko
愛してる アルイハ シラナイヒト
何が希望
そこをはっきりさせて
欲望、ココロザシ、悦楽、プライド、
不安、恐怖、満腹、不満、
廃墟にひかれていくのはどうしてだろう、
そこには誰もいないのに
はじめから
うわべだけの言葉
私は本心を決して言わない、
たくさんの言葉を費やして
それは醜いからだ耳をふさぎたいほど
差別主義、
他人のふりをしたいくらいかっこわるいからだ
醜いおまえは
見えを張るおまえは
ないものねだりだ
欲が深い
まんぞくするということがない
傲慢だおまえは
かなしい みすぼらしくて
すきだ…私だけがすきだ 私だけが私をすきだ
私をだきしめるように、知らないひとを抱きしめる
だれもいない野原に
ちいさな白い花がいちめんに
咲いていた
知らないひと、
挨拶をします、
知らないひと、
すき、という
私もかえす、すき、という
名前もしらないひと、
すき、という
私もかえす、すき、という
名前を告げてはいけない、
知らないひと
すき、という
私もかえす、すき、という
いつか崩れ落ちた街
（スキ、という）
撃ち合いがつづく
（私もかえす、
スキ、という）
目には見えない弾丸を
くぐりながら
私たちはいる
時の慰みに狙い撃ちされ
倒れたひとを振り返り
つぶやく
「運の悪いやつだった」
…
積み重なる
袋の山、
やがてまたなにもなくなり、
（スキ、）
そして続く。
スキ、という
途絶えてはいけない、
キスがすき、という
キスをする、
キスをして 別れる、知らないまま
知らないまま激しく
いなければイケナイ
シラナイフリでイキテイナケレバ／／
イケナイ
イケナイという私が好きだ私だけを私が
好きだ 誰にも邪魔を、させない、
風が吹いて
風が途絶えた
私を私を私を、
その匂いのする花を踏みつけて
踏んで
踏み散らかして、、、、
暴力は
ぬるまゆい
そのなかに
あなたを見つけた
弓矢の射方も
小動物のさばき方も
知らない
やさしすぎる私たちの手と手
ようやく手にいれた
その拳銃の口を私の口へさしいれてください
（すき、という）
そして引き金をひいて
（シャボン玉）
目を開けて見ていて
私の口の奥が吹き飛んで私という私が終わるのを
見ていて
知らないひと、
（すき、という）
望むのなら
私もあなたを
あなたという私を殺してあげるよ
知らないまま
永久に
知らないまま
知らない人、
それまでは
挨拶します、
（「愛してる」）
２月２０日yukotopiaにおけるpoetry reading用に書いたもの 2000.2.18